カテゴリ:不動産売却コラム / 投稿日付:2026/09/11 11:22
名義人(所有者)が認知症であっても、医師の診断や専門家の面談によって「意思能力(判断能力)」があると認められれば、原則として売却は可能です。
一方、意思能力が不十分であると判断された場合、名義人本人による売買契約は法律上無効となります。その場合は、「成年後見制度(法定後見)」を利用して成年後見人が代理で売却手続きを行う必要があります。
認知症名義人の売却判断基準:意思能力の有無
不動産の売買契約などの法律行為には、契約内容や法的効果を正しく理解できる「意思能力」が求められます。
- 軽度の認知症で意思能力がある場合
医師の診断結果や診断書に基づき、さらに決済を担当する司法書士による本人面談で売却の意思・判断能力が確認できれば、本人の署名・押印により売却を進められます。 - 重度などで意思能力が認められない場合
民法上、意思能力のない状態で行われた契約は無効です。親族であっても名義人の代理として勝手に契約を結ぶことはできず、成年後見制度の申立てが必要となります。
成年後見制度を利用して売却する際の4つの注意点
名義人の判断能力が低下している場合は、家庭裁判所に申し立てを行い、成年後見人を選任して不動産を売却します。ただし、利用にあたっては以下の点に留意が必要です。
1. 申立てから売却開始まで数ヶ月の期間を要する
必要書類の収集、医師の鑑定、家庭裁判所での調査・審判などを経るため、申立てから後見人が選任されるまでに通常2〜4ヶ月程度の期間がかかります。即座の売却はできません。
2. 親族が成年後見人になれるとは限らない
後見人を誰にするかは家庭裁判所が判断します。親族を候補者として申し立てても、財産規模や家庭状況に応じて、司法書士や弁護士などの専門職後見人が選任されるケースが多くあります。
3. 自宅(居住用不動産)の売却には家庭裁判所の許可が必須
名義人本人が住んでいる自宅(過去に住んでおり将来戻る可能性がある場合を含む)を売却する場合、家庭裁判所の許可(居住用不動産の処分許可)を得なければ売買契約の効力は生じません。
4. 「本人の利益」にならない売却は認められない
成年後見人は、被後見人(名義人本人)の権利と財産を守る役割を担います。そのため、
- 入院費や介護施設への入所一時金を捻出する
- 空き家となった実家の維持費・固定資産税の負担を軽減する
といった本人の生活・療養に資する合理的な理由がない場合(例:資産に十分な余裕がある、親族の都合による現金化など)、売却許可が下りない可能性があります。
よくある質問(FAQ)
Q. 名義人が認知症の場合、家族が委任状を用意すれば売却できますか?
A. できません。
本人に意思能力がない状態で作成された委任状は法的に無効です。家族であっても無断で売却手続きを行うことはできません。
Q. 医師の診断書があれば、必ず売却手続きを進められますか?
A. 医師の診断書だけでは確定しません。
不動産取引では、登記申請を担当する司法書士が契約当日に名義人本人と直接面談し、本人の売却意思と判断能力を確認します。司法書士が「意思能力に疑義がある」と判断した場合は取引を進めることができません。
まとめ:早期の専門家相談がスムーズな売却の鍵
名義人が認知症を発症している不動産の売却では、本人の意思能力の程度を見極めたうえで適切な手続きを選択することが重要です。
自己判断で契約を進めると後々トラブルや契約無効となるリスクがあるため、まずは認知症不動産の取引実績や、司法書士・弁護士と強固な連携体制を持つ不動産会社へ早めに相談することをおすすめします。

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